平成25年 4月24日 障害者用デジタルデータ配信サービスに関する要望  国立国会図書館長 大滝則忠 様              公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会)                              代表 大塚 強  貴館の視覚障害者等へのサービスに対する尽力に敬意を表します。  貴館が平成23年7月に公表した『視覚障害者等サービス実施計画』はさまざまな理由で通常の活字による読書が困難な人の情報環境の改善に繋がるものと大いに期待しております。中でも公共図書館が作成した障害者用録音図書、点字図書デジタルデータ(以下、単に「デジタルデータ」という)の収集と提供については現在、自動公衆送信による配信サービスが行われていないため、視覚障害者を始めとする、多くの障害者にとっての利便性が損なわれている状態にあります。 したがって、貴館が自館のウェブサイトからこれらのデジタルデータを配信するサービスを実施することは、こうした障害者の情報環境の改善に役立つものと歓迎いたします。  一方で現在、サピエ図書館が普及し、全国の点字図書館やボランティアグループが作成した大量のデジタルデータ(コンテンツ)や書誌情報を一万人を超える視覚障害者が利用しているのは周知の通りです。これに加え、貴館が上記のデジタルデータ提供サービス、それに学術文献録音DAISY資料やテキスト資料の提供を実施すれば視覚障害者の読書の可能性はさらに広がることになります。  ただ、点字図書館のデジタルデータはサピエ図書館で、公共図書館のデジタルデータは国会図書館でと分かれて提供されることは多くの視覚障害者にとって決して望ましいことではありません。特にアクセシビリティに配慮されデザインされたサピエ図書館を利用している視覚障害者が、使用感の異なる他のウェブサイトで資料を検索して、デジタルデータを利用することは、それほど容易なことではありません。その結果、公共図書館のデジタルデータが十分に活用されず、貴館のサービスが生かされないという懸念も生じます。そして、このことは視覚障害のある利用者にとって大きな損失となります。  そこで、貴館が提供する障害者用デジタルデータを自館のウェブサイトで提供するとともに、視覚障害者の間でもっとも普及しているサピエ図書館でも利用できるようご配慮いただきたく、以下に要望いたします。                     記 貴館が、自館のウェブサイトから提供する以下の4種類の障害者用デジタルデータについて、サピエ図書館のシステム上から資料検索、デジタルデータ(コンテンツ)の利用ができるようにしてください。 1.他の図書館等が作成する録音図書デジタルデータ 〈『視覚障害者等サービス実施計画』、5 他の図書館等が作成する録音図書・点字図書デジタルデータの収集、保存及び提供〉 2.他の図書館等が作成する点字図書デジタルデータ 〈同上〉 3.貴館製作分の学術文献録音DAISY資料 〈同、4 提供するサービス等の概要、(3)インターネットによるサービス、B 視覚障害者等用資料の配信〉 4.貴館製作分のテキスト資料 〈同上〉 以上、要望します。 なお、この件に関して、当会との意見交換の時間を作っていただければ幸いです。