なごや会の「TRC−DL」に対する見解



なごや会の「TRC−DL」に対する見解



 図書館向け電子図書館システム「TRC−DL *1」のアクセシビリティ(障害者等の使いやすさの程度)について、『図書館雑誌』2018年6月号に本会の関わりに言及した記事*2が掲載された。そこで、本会の「TRC−DL」に対する見解をここに明らかにしておきたい。

 結論から言えば、本会は現在の「TRC−DL」のアクセシビリティを評価していない。

 2015年に本会は、立命館大学IRIS大日本印刷図書館流通センター等が実施した実証実験に協力した。これはこの取り組みが、電子書籍がアクセシブルな媒体となることをめざすプロジェクトであり、本会としても視覚障害者の読書の可能性を大きく広げる絶好の機会と考えたからである。

 実証実験の結果、参加者からは音声読み上げやデータの読み込み、ビューワの使用感等、全体に評価は低く、多くの課題が明らかになった。本会としてはこうした意見を参考に、システムの改善がなされ、「TRC−DL」のアクセシビリティの向上が図られると認識していた。ところが、2016年4月に三田市に導入された「TRC−DL」のアクセシビリティは、僅かな修正がなされたものの、重要な要素を含めて実証実験段階からほとんど改善されていなかった。これに対し、同年8月に本会は大日本印刷、図書館流通センター等に話し合いを求めた。

 本会からは「TRC−DL」について、アクセシブルな電子書籍としては課題が多く、改善を求めるとともに、大日本印刷のウェブサイト*3で本会が実証実験に協力したとの記述の削除を求めた。しかし、それ以降も改善がなされず、同ウェブサイトの記述も削除されずそのままである。本会はこのような業者の姿勢に疑問を抱くとともに、アクセシブルな電子書籍としては不完全なこのシステムのPRに本会の名称が利用されていることに不快感を感じている。そして、本会が実証実験に参加したことで「TRC−DL」がアクセシビリティに優れたシステムであるかのような誤解が生まれ、公共図書館がこのシステムを導入する際の判断材料になっていないか、強く懸念している*4

 なお、このシステムに対して、なごや会が具体的に改善点を指摘してきているにも関わらず、3年間も修正ができないということは、このシステムの根本的な方式に問題があり、今後の修正が難しいことを証明しているといわざるをえない。

 以上、本会としては、現在の「TRC−DL」のアクセシビリティには多くの改善すべき問題点があり、同システムをアクセシブルな電子書籍の提供システムとしては不十分なものと認識していることをここに明らかにしておく。

2018年7月
公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会)



*1 正式名称は、株式会社図書館流通センター(TRC) 電子図書館サービスTRC-DL

*2 図書館雑誌2018年6月号 特集●公立図書館の管理・運営の多様化「指定管理者制度がもたらす公共図書館のイノベーション」 P391(湯浅俊彦)

*3 http://www.dnp.co.jp/news/10122840_2482.html

*4 「2018年4月17日時点で40自治体,129館」がすでに導入している(注2、湯浅氏の論考による)


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作成日:2018年7月25日、最終更新日:2018年7月27日